「転職できる」と「転職して幸せになる」は別の話。40代が年収より先に見るべき7つの条件

40代の転職では年収アップだけを成功と考えると危険です。定年までの働きやすさ、通勤、残業、人間関係、会社の将来性など、転職後の人生を左右する「年収より先に見るべき7つの条件」を整理します。

40代で転職を考えるとき、多くの人が最初に見るのは年収だ。

今が700万円なら、次は750万円。

少なくとも現状維持。

できれば800万円。

当然の感覚だと思う。

住宅ローンがある。

教育費がある。

老後資金も貯めたい。

若い頃のように、

「とりあえず面白そうだから転職してみよう」

とは簡単に言えない。

だから40代の転職では、年収が重要になる。

ただ、ここで一つだけ考えておきたい。

年収が上がれば、転職は成功なのだろうか。

例えば年収が100万円上がった。

でも通勤時間が往復2時間になった。

残業が毎月40時間増えた。

休日にもチャットが飛んでくる。

上司との相性が最悪。

会社の業績が不安定。

50代で役職定年がある。

60歳以降は大幅に給与が下がる。

それでも「転職成功」と言えるだろうか。

逆に、

年収は50万円下がった。

でも通勤は30分。

在宅勤務ができる。

残業はほとんどない。

仕事は自分の経験を生かせる。

65歳まで働きやすい。

家族との時間が増えた。

夜ぐっすり眠れるようになった。

こちらを「転職失敗」と呼ぶべきだろうか。

40代になると、転職の目的は20代とは少し変わってくる。

キャリアアップだけではない。

人生全体をどう維持するか。

ここまで考えて会社を選ぶ必要がある。

今回は、40代が転職先を選ぶとき、年収より先に見ておきたい7つの条件を考えてみよう。

条件1――「何歳まで働ける会社なのか」

40代の転職でまず考えたいのが、

その会社で何歳まで働けるのか

ということだ。

40歳で転職するとする。

65歳まで働くなら、あと25年ある。

45歳でも20年。

50歳でも15年。

40代の転職は「次の会社を探すこと」ではない。

場合によっては、

人生で最後の大きな転職先を選ぶこと

になる。

だから入社時の年収だけを見てはいけない。

50代でどうなるのか。

役職定年はあるのか。

定年は何歳か。

再雇用制度はどうなっているのか。

60歳以降の給与はどれくらい下がるのか。

専門職として残れるのか。

管理職を降りた後のキャリアはあるのか。

こうした部分を見る。

仮に45歳で年収850万円で入社しても、55歳で役職定年になり、給与が大きく下がるなら、長期的には想定が変わる。

逆に入社時700万円でも、65歳まで安定して専門職として働けるなら、トータルでは悪くないかもしれない。

40代からは、

初年度の年収より、10年後の居場所

を見る。

これだけでも転職先の見え方はかなり変わる。

条件2――「残業時間」ではなく「仕事が頭から消えるか」

求人票には残業時間が書いてある。

月平均15時間。

月20時間程度。

残業ほぼなし。

もちろん重要だ。

ただし、40代で本当に見たいのは数字だけではない。

家に帰った後、仕事が頭から消える会社かどうか。

例えば残業は少ない。

でも管理職なので休日も連絡が来る。

夜にSlackを見る。

取引先から電話が来る。

部下のトラブルを考える。

日曜の夕方になると翌週の会議資料が気になる。

身体は休んでいても、頭はずっと会社にいる。

こういう働き方は意外と消耗する。

40代になると、回復力も無限ではない。

だから、

何時に仕事が終わるのか。

休日連絡はあるのか。

管理職の責任範囲はどこまでか。

緊急対応はどれくらいあるのか。

仕事を家に持ち帰る文化はないか。

ここを見る。

年収100万円上がっても、

365日会社のことを考える生活

になれば、その100万円はかなり高くつく。

条件3――通勤時間を「人生のコスト」として計算する

通勤時間は軽視されがちだ。

求人票を見て、

「まあ1時間くらいなら」

と思う。

しかし毎日の1時間は大きい。

片道60分なら往復2時間。

年間勤務日を220日とすると、

約440時間。

単純計算で18日以上になる。

もちろん電車で本を読んだり勉強したりできる人もいる。

それでも、

朝起きる時間。

満員電車。

乗り換え。

遅延。

暑さ。

寒さ。

帰宅時間。

身体への負担はある。

40代になると、通勤時間はただの「移動」ではない。

人生の可処分時間そのものになる。

だから転職先を見るときは、

年収だけでなく、

自宅からの距離。

在宅勤務。

フレックス。

出社頻度。

転勤。

勤務地変更の可能性。

ここも確認する。

年収が50万円上がっても、年間400時間を追加で通勤に使うなら、

「その50万円で自分の時間を売っている」

とも考えられる。

条件4――「会社が何を伸ばして、何を捨てているか」

転職先企業の売上や利益を見る人は多い。

もちろん必要だ。

ただ、40代ではもう一段見る。

その会社は、これから何を伸ばすつもりなのか。

そして、

何を縮小するつもりなのか。

会社全体が黒字でも、自分が入る事業が縮小分野なら安心できない。

逆に会社全体では苦戦していても、自分が入る部門が投資対象ならチャンスがある場合もある。

見るべきなのは、

中期経営計画。

決算資料。

採用ページ。

新規事業。

設備投資。

拠点統廃合。

人員配置。

ニュースリリース。

企業が「これから何に金を使うか」を見る。

企業は言葉より、金の使い方に本音が出る。

採用を増やしている。

研究開発を増やしている。

新拠点を作っている。

M&Aしている。

そこには未来の方向がある。

逆に、

店舗閉鎖。

部門統合。

採用抑制。

早期退職。

こうした動きも同じだ。

40代の転職では、

自分の職種が、その会社の未来側にいるか

を考えたい。

条件5――「何を評価する会社なのか」

同じ仕事でも、会社によって評価される人は違う。

売上を作る人。

調整がうまい人。

新しいことを始める人。

ミスをしない人。

上司に従う人。

部下を育てる人。

専門性が高い人。

スピードが速い人。

会社にはそれぞれ文化がある。

40代で厄介なのは、

能力がないのではなく、文化が合わない

というケースだ。

例えば、慎重に考えてから動く人が、

「とにかく速く失敗しろ」

という会社へ行けば苦しくなる。

逆に、新しいことをどんどんやりたい人が、

「前例がないことはしない」

という会社へ行っても苦しい。

20代なら会社に合わせて自分を変えられる部分もある。

40代では、自分の仕事のスタイルがかなり固まっている。

だから、

「この会社は自分を評価してくれるか」

だけでなく、

「この会社の評価基準で、自分は無理なく働けるか」

を見る。

面接では質問していい。

「御社で評価される方には、どんな共通点がありますか」

「中途入社で活躍している方は、どんな方ですか」

「逆に中途入社で苦戦しやすいケースはありますか」

答えから、かなり文化が見える。

条件6――「誰と働くか」を軽視しない

転職では、

仕事内容。

年収。

会社名。

福利厚生。

に目が行きやすい。

でも、毎日の幸福度を大きく左右するのは、

誰と働くか

だったりする。

上司が人格を否定する。

会議で怒鳴る。

部下を信用しない。

細かく監視する。

成果を横取りする。

失敗を全部部下のせいにする。

こういう環境では、どれだけ給与が高くても長く続かない。

逆に、

相談できる。

任せてもらえる。

失敗しても改善を考える。

意見を聞いてもらえる。

こういう上司なら、多少仕事が大変でも耐えられることがある。

面接では「会社」を見ているつもりになるが、

実際に毎日付き合うのは企業理念ではない。

直属の上司と同僚だ。

可能なら、

面接官はどんな人だったか。

質問への答え方はどうだったか。

社員同士の雰囲気はどうか。

オフィスで挨拶はあるか。

面接中、現場社員についてどう話すか。

こういうところを見る。

求人票には絶対に書いていない。

しかし転職後の生活には大きく影響する。

条件7――「その仕事を失ったとき、何が残るか」

これが最後で、一番重要かもしれない。

転職先を選ぶとき、

「この会社で働けるか」

だけでなく、

「この会社を辞めた後にも使えるものが増えるか」

を考える。

専門知識。

営業経験。

マネジメント。

資格。

データ分析。

顧客ネットワーク。

業界知識。

新規事業。

海外経験。

業務改善。

何でもいい。

40代で転職するなら、その会社で働いた5年、10年が、

次の市場でも説明できる経験になる方がいい。

なぜなら、

「次がない」と思って働くと、人は会社に依存するからだ。

嫌な上司。

理不尽な異動。

待遇悪化。

それでも、

「ここを辞めたら終わる」

と思って耐える。

一方、

「ここで得た経験は外でも使える」

と思える人には余裕がある。

だから転職先には、

給与だけでなく、自分の資産が増えるか

という視点を持つ。

40代からの会社選びは、

給料をもらう場所を選ぶだけではない。

次の10年分の経験を買う場所を選ぶことでもある。

年収100万円アップを月額に直して考える

転職で年収100万円アップ。

かなり魅力的に見える。

しかし一度、月単位まで落として考えてみたい。

100万円を12カ月で割れば約8万3000円。

もちろん税引前なので、そのまま手取りが8万3000円増えるわけではない。

では、その差と引き換えに何が変わるのか。

毎朝1時間早く起きる。

残業が増える。

休日対応がある。

転勤可能性がある。

プレッシャーが強い。

家族との夕食が減る。

睡眠時間が減る。

それでも欲しい8万円なのか。

もちろん答えがYESなら、その転職を選べばいい。

問題なのは、

「年収が上がる=条件が良くなる」

と自動的に考えることだ。

40代からは、給与を人生の一項目として見る。

最重要項目にする人がいてもいい。

ただし他の条件も一緒に見る。

福利厚生は「おまけ」ではない

若い頃は福利厚生にあまり興味がなかった人もいるだろう。

40代になると話が変わる。

住宅手当。

家族手当。

企業年金。

退職金。

確定拠出年金。

健康診断。

人間ドック補助。

休暇制度。

介護支援。

在宅勤務。

社員持株。

福利厚生サービス。

一つひとつは小さく見える。

でも年単位では差が出る。

例えば年収だけは前職より高い。

しかし退職金制度がない。

企業年金もない。

住宅補助もない。

そうなると、トータルの待遇は必ずしも良くない。

だから40代の転職では、

額面年収ではなく「総報酬」で比較する。

これはかなり重要だ。

「有名企業だから安心」は捨てる

大企業。

有名企業。

上場企業。

誰でも知っているブランド。

転職先として安心感がある。

ただし、

会社が大きいことと、自分の仕事が安泰なことは同じではない。

事業売却。

部門再編。

希望退職。

子会社化。

配置転換。

大企業でも起きる。

むしろ大企業だからこそ、巨大な組織再編が行われることもある。

これからの40代が持つべき安心は、

「いい会社に入ったから大丈夫」ではなく、「会社が変わっても動ける」

という状態だと思う。

会社の安全性だけを追うより、

自分の移動可能性を高める。

その方が長期的には強い。

「転職しない」という判断にも意味がある

ここまで読むと、

「そんなに考えるなら転職なんてできない」

と思うかもしれない。

それでいい。

調べた結果、

今の会社が意外と悪くない。

そう気づくこともある。

給料はそこそこ。

通勤も近い。

人間関係も悪くない。

休みも取れる。

仕事内容にも慣れている。

だったら、無理に転職する必要はない。

転職活動は、

必ず転職するための活動ではない。

自分の現在地を確認するためにも使える。

求人を見る。

市場を見る。

自分の経歴を整理する。

他社と比較する。

その上で、

「今は残る」

と決める。

これは立派なキャリア判断だ。

40代転職では「勝つ」より「壊れない」

20代の転職では、

年収アップ。

昇進。

成長企業。

有名企業。

そんな「上」を目指す転職が中心だったかもしれない。

40代からは、少し違う視点も持っていい。

10年続けられるか。

朝起きて会社へ行けるか。

身体を壊さないか。

家族との関係を壊さないか。

睡眠を削らないか。

心が毎日すり減らないか。

そして、それなりの収入を得続けられるか。

地味に見える。

でもこれは非常に強い。

40代から60代まで20年ある。

短距離走ではない。

だから、

最大瞬間風速の年収より、

長く走れる働き方

の方が結果として稼げることもある。

最後に――転職成功の定義を、自分で決める

転職サイトには、

年収100万円アップ。

大手企業へ転職。

管理職へ昇進。

華やかな成功事例が並ぶ。

もちろん素晴らしい。

でも、あなたの転職まで同じ形である必要はない。

年収は変わらない。

でも残業が減った。

それも成功だ。

少し年収が下がった。

でも毎日眠れるようになった。

それも成功だ。

会社の規模は小さくなった。

でも自分の経験を必要としてくれる。

それも成功だ。

役職はなくなった。

でも仕事が面白くなった。

それも成功だ。

40代になると、人生には仕事以外のものが増えている。

健康。

家族。

親。

お金。

時間。

自分自身。

だから転職も、仕事だけで評価しなくていい。

年収。

仕事内容。

働く時間。

通勤。

人間関係。

会社の未来。

定年後。

そして、自分の成長。

全部を並べてみる。

もちろん完璧な会社などない。

どこかは妥協する。

だからこそ、

何を妥協できて、何だけは妥協できないのか。

これを先に決める。

40代の転職で一番怖いのは、

転職できないことではない。

焦って転職して、

「前の会社の方がまだ良かった」

となることだ。

転職は目的ではない。

人生を少し良くするための手段だ。

だから、

「転職できたか」

ではなく、

「転職した後の生活は良くなったか」

で判断すればいい。

40代からの転職成功とは、

他人に羨ましがられる会社へ入ることではない。

10年後の自分が、

「あのとき、この会社を選んでよかった」

と思える場所を選ぶことなのだ。